※あまり中身の無いヴィン宝です。行為もしているのでR-18です。下品です。
昼も夜も無く、生も死もない、この忌まわしき身体になってから、何年が経過しただろうか。
半分獣を宿した肉体のコントロールにはだいぶ慣れてきたころだが、それでも私の身体はまだ人間だった頃の名残を多分に残している。
食欲……水すら口にせずとも生きていけることはわかっている。あれからほとんど何も食べていないので空腹すら感じなくなってしまった。これはまだいい。
睡眠欲……派遣先で死亡したことになっているので、仕事に追われる毎日とは程遠い。いくらでも眠っていられる。
性欲……これが問題だ。人間ではなくなってしまったとはいえ、獣が混ざっているおかげか、かえって動物的な生殖本能が強くなってしまったように思える。
そんなわけで、私は断続的な眠りから目が覚め、また次の眠りにおちる間にもふつふつと湧き上がる欲求を抑えることに苦心していた。しかし、そう大したことではない。一人で処理してしまえばいいのだが、神羅屋敷には男性向け自己処理用の魅力的な女性を想起させるもの(つまり、エロ本)もそんなものを与えてくれる私以外の人間も滅多にやって来ないのだから困る。まだタークスとして働いていたころの、何年も前の遠い記憶を掘り起こしてみても、頭の中に浮き上がってくる女性といえばただ一人だけだった。それはだめだ、と私は自分に言い聞かせる。彼女だけは汚してしまってはならない。そのように頭の中で彼女の姿をこねくり回していると、更に想像の中の彼女の露出度は高くなる。白衣ははだけブラジャーはちぎり飛び挙句に叫びだしてしまいそうな罪悪感と共に、私は悪夢の世界へ逃げるのだ。眠っている間にみる苦痛を伴う夢と現実に抑圧された欲求。私にとって、どちらがより悪夢的なのだろう……。
「ヴィンセント、私の万年筆、どこに行ったか知らないか」
地上に上がってきてぼんやりとしていると、仕事のついでに顔を出しに来ている宝条の声で我に返った。少し困ったような顔で、宝条は私にそう尋ねた。
「さあ、知らないが」
「そうか」
まったく私としたことが……あれは高かったのに……などとブツブツ言って、宝条は、この辺りをきょろきょろと見回してから、近くの机に屈みこんで四つん這いになった。ブツブツ言いながら机の下の雑品をひっくり返している。痩せた下半身が私の目の前に強調された。私は下腹部の辺りから徐々に体温が上がってくるのを感じた。そしてそのような自分の反応に動揺し、その場に立ち往生せざるを得なかった。体温はゆっくりと上がり続け、四つん這いになり暗がりをガサガサ探し続ける宝条を目前に顔が赤面した。
「無い……」宝条は舌打ちをして言った。「君も探してくれないか。確かこの辺りで落としたと思うんだが」
「それは、できない」
私は震える声で言った。
「ん? なんだ? 反抗期か?」
宝条は四つん這いの姿勢から立ち上がり、私を振り返った。機嫌の悪そうな視線で見つめられ、私は自分の股ぐらが膨張していくのを自覚した。
「宝条」
私は溜息をついた。呼吸が上がってきていた。
「どうした。顔が赤いぞ。熱でもあるのか」
「私に、近寄るな」
「そう言われても……ん、なんだ、君勃起してるじゃないか」
恥辱と錯乱で気が動転する私を尻目に、宝条はふうむと言って、客観的な視線をこちらに向けた。
「勃起するのは男だから仕方がない。性欲を処理する相手もいないんじゃ、大変だろう。わかった。別に手伝わなくていいから、地下に戻って処理していたまえ」
「いや、いい」
「手伝ってくれるのか?」
「手伝うのは、あんただ」
「は?」
その後は自然に身体が動いた。タークス仕込みの組手を仕掛けると、簡単に宝条を床に組み伏せることができた。床に押さえつけられて精一杯の抵抗をする宝条に向かって、私は未だ動転した頭で言った。
「私も脱ぐから、服を脱げ」
「おい、私は男だぞ……そんなこともわからんレベルで頭がモンスターに侵されてるのか? オス同士だぞ、仮に君がホモだったとしても、私はガリガリだし抱いてても楽しくないだろうし……」
「……」
私は無言で自らの下半身を現した。自分の勃起したペニスそのものを見るのは久しぶりだった。宝条が息を呑む音が聞こえた。
「……おい、そんなに我慢できないなら、デリヘルでも呼んでやろうか」
「相手がいるのに、自己処理する切なさがあんたにわかるか? ……あんたじゃなきゃ、駄目なんだ」
宝条は絶句し、抵抗することをやめた。その隙に白衣とスラックスと下着を素早く剥ぎ、華奢な身体を抱き寄せて耳元に囁いた。私は熱情で頭が浮ついていた。
「優しくしてやるから」
「……よろしく」
そう言いながら、宝条の二の腕には鳥肌が立ち始めている。どうやら思考停止しているらしい。私は彼の胸元に顔をうずめた。
最中は何も喋らなかったが、生身の身体を触っていると、憎らしいとしか思えなかった宝条が可愛いとすら思えてきたことを、私は自覚する。宝条は、臀部を突き上げられる痛みになかなか慣れなかったようだが、二回目になると随分順応したようで、時折甘い嬌声を漏らし、自分から腰を振りさえした。
そうして、私は久しぶりに恍惚とした気持ちで二度目の射精を終えた。宝条の内部は、精液と体液が入り混じって絶妙なぬめりを生じていて抜き差しする毎になんとも言えぬ快感を齎すのだった。
「……もう十分だろう。抜かんか」
彼は腰をよじって悪態をついた。
「宝条……あんたの中、気持ちいいんだ……」
私は自分に正直にそう言ったつもりだったが、顔を紅潮させた宝条に即座に平手打ちをかまされたので素直に従い後始末をした。それから、罰として(何やら語弊がある気がする)宝条の万年筆探しを手伝わされた。結局、万年筆は地下室に残していったのを宝条が忘れていただけで、散々地上階を探し回った宝条の徒労に終わったのだが。そして余計に宝条の機嫌は悪化し、私はしばらく彼の悪態に付き合わされることになった。
「何が、優しくしてやるから、だ。君はやたら前戯も長くてだらだらしているし、あんな風に力任せに突っ込まれたらこちらの負担になるだけだろうが」
「いや、でも、途中から気持ちいいって自分で動いてたじゃないか」
「私はそんな言葉を発した覚えはないぞ」
「いや、あの……しかしあんた結構満更でもない顔をしてたと思うが。気持ちよかったんじゃないのか?」
「黙れ!」
「……はい」
私たちは互いに黙り込んだ。とても気まずい時間が暫くの間流れた。宝条は何か思案するような仕草を見せた後、再び口を開いた。
「……君、知ってるか? 獣は交尾中にフェロモンを出すんだ。相手を発情させるためにな。今回のことを整理すると、君には発情期が来ていて、ちょうど近場にいた私を狙って交尾を促し、性フェロモンを発して私を発情させた……ああ、気持よかったのは認めよう。最初は退屈で痛くてしょうがなかったが、なんだか君を見ているうちにこう、だんだん……」
宝条はそこで咳払いをした。
「つまり、君は動物の生態に近づいていってるということだ……。まあ、人間の男は女性と違って性欲が顕著に現れやすいから、一概には言えないがな……しかし、性フェロモンが出せるまでになるとは……やはり私は天才だな……」
彼は何か含みのあるような表情でクックックッと笑った。なんだか馬鹿にされているような気がするが、いつものことなのでまあ気にしないでおこう。この男の話をマトモに聞いていると頭が痛くなってくる。
おかしな方向に話が進んでしまったが、制裁を加えられなかっただけマシとしよう。言っておくが私はホモではない。
……ちなみにこの後、宝条は気を利かせてくれたのか、こちらを訪ねる時はアダルト雑誌を必ず持ってきてくれるようになった。
<あとがき>
あまりに出会いがなさすぎて性欲を持て余したヴィンセントが博士に盛ってしまうヴィン宝が前から書きたくて…
自分の中でヴィンセント童貞説が濃厚になっておりますが、この話では特に言及しません。タークスヴィンちゃんが思わぬところで股間膨らんで恥ずかしすがってるのはかわいすぎると思います。下品ですみません。
あとがき>
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